はじめに
旅行会社を経営するMorishiです。
2020年パンデミックがおき、世界が一変しました。
2020年を振り返り、「旅行会社の現状とコロナの影響は?」を解説していきたいと思います。
今だからこそ、データに基づき私の経験・他の旅行会社の状況も踏まえ記事を書きました。
- 旅行会社に勤務していて毎日が不安の方
- 今何が業界で起きているのか。全体の動きを確認したい方
- 旅行会社の今後はどうなると不安を抱いている方
コロナの影響【2020年~2021年2月までの時系列】
時系列 | 主な項目 | 旅行会社の対応 |
2020/01 | 中国武漢でウィルス発見 | |
2020/02
|
横浜港クルーズにて感染
小中高臨時休業 |
各国入国制限に伴い、飛行機の運航中止が相次ぎ発生し、日々、情報が更新されるような事態になる。
海外航空券のキャンセル手続に追われる 速やかに返金される航空会社と未だに返金されない航空会社に分かれる。 |
2020/03 | 五輪1年程度見送り | 旅行会社として絶望的な状況に追い込まれていく。 |
2020/04 | 7都府県緊急事態
全国緊急事態 |
会社の出勤がほとんどなくなり、テレワークが普及し、コロナ収束を期待し、企画をつくる。
※雇用助成金やセーフティネット4号・持続化給付金など、あらゆる手続に踏み切る。 |
2020/05 | 全国緊急事態解除 | オンラインツアーなどの独自の企画を打ち出していく。 |
2020/06 | ——————- | GoToトラベルの事業説明会などに参加 |
2020/07 | GoToトラベルスタート
(東京以外) |
GoToトラベルに向けて、一斉に旅行会社の問い合わせが増え始める。
GoToトラベルのルールの変更などで、旅行会社がバタバタ手続に追われる。 |
2020/10 | 東京都発着GoToトラベルスタート/GoToトラベル地域共通クーポンが始まる。 | 地域共通クーポンの配布が遅れ、トラブルが多く発生した。
旅行会社のクーポン管理に業務が追われる。 |
2020/11 | 札幌・大阪などで自粛要請 | コロナ感染者が増え始めている傾向になり、飲食店はじめ自粛ムードとなる。それによって、GoToトラベルの状況も今後怪しい雰囲気となっていく。 |
2020/12 | 東京で自粛要請強化
GoToトラベル全国一時停止 |
新規予約が全く入らず、苦境に立たされる旅行会社が増えた。これまで企画をしていた旅行プランもキャンセル。 |
2020/01 | 緊急事態宣言 | 旅行の予約が入らず、11月分・12月のキャンセル分の清算をGoToトラベル事務局に申請の準備をする。
全国的に旅行自粛ムードとなり、全く新規予約が入らなくなる。 |
2020/02 | 緊急事態宣言延長 | 事務的な作業が続く。GoToトラベルの予算や来期継続なのか、常に報道をチェックするよな毎日。 |
大都市東京では、実質GoToトラベルの利用期間は約2か月ほどしかなかった。
いかにGoToトラベルの事務作業に振り回されているのか、我々旅行会社もお客様と同じタイミングで報道で知ることが増え、その場その場で対応を重ねた1年となった。
しかし、GoToトラベル事業のおかげで、なんとか救われた企業も多いことは確かである。
旅行会社の現状とコロナの影響【2020年~2021年】
各データに基づき、個人的見解及び知り合いの旅行会社含めての記事の解説となりますので予めご理解ください。
旅行業事業者登録数
旅行会社の登録数は第1種・2種・3種・地域限定・旅行代理店を含め、合計で10458社となる。(2019年)
2020年度はまだ発表されていないが、このご時世登録数が増えているとは到底思えない。
参考資料:2019年の情報 旅行業者の推移
10458社の中でどれだけの旅行会社がGoToトラベルに参加しているのでしょうか。
GoToトラベルに参加している旅行会社数
GoToトラベルに参加している旅行会社数は6643社となる。
2019年の旅行会社の登録件数と比較
※2020年と異なるためおよそと表記します。
全国の旅行会社登録をしている旅行会社がおよそ10458社あるうち、6643社がGoToトラベルに参加している。全体の約63%の割合で参加していることになる。一方で37%(およそ3815社)は未登録となっていることが分かった。
参考資料:2月15日13時現在の旅行業者登録リスト
旅行業倒産件数推移
旅行業の倒産件数推移
参考:日本経済新聞2021年1月12日「東京商工リサーチ、2020年(1-12月)の「旅行業倒産動向」調査に関して
このグラフで読み取れるのは、倒産件数としては、2020年は26件で収まり、過去5年間の傾向と横ばいの水準となっている。
しかし、負債額を見ると、記憶に新しい2017年「てるみくらぶ」の負債を大幅に超える水準となっている。
旅行業はある程度の資金がないと、旅行業の参入は厳しい。そのため、資金調達できる親会社やグループ会社の協力が多いにある。
つまり
倒産件数がすべてではなく、「旅行業の事業を廃止」した企業もたくさんある。
例えば、ある鉄道系の旅行会社も旅行事業を廃止し、親会社に吸収といったニュースもありましたね。倒産件数がすべてではないことが挙げられる。
私の解釈
グラフからわかる通り、負債額が過去20年間で最大の記録となっていることは言うまでもない。各都道府県の自粛・国の2度の緊急事態宣言により、旅行会社は試行錯誤しながらも太刀打ちできない状況が今でも続いている。天災や災害と同規模・それ以上のパンデミックにより、身動きできなくなっている。
旅行会社の商品は上期・下期と4月を分岐点に分かれていることが多く、旅行会社の決算も3月末が多い傾向にある。予測ですが、これ以上長く続けば、3月の倒産件数が増えるのではないかと予測できる。
休業状況・勤務状況
旅行会社の休業状況・勤務状況について解説していきます。
- 都内の一部の旅行会社は基本テレワークで月2回ほどしか会社には出勤していない。
- 週5の営業時間をシフト制にし、出勤を減らしている。
- 店舗休業をし、旅行手配等はメールやチャットを利用し営業マンが個々で対応している。
- 3月7日(予定)までの都府県の緊急事態宣言の影響によりその他の地域でも多くの旅行会社は休業している。(特に店舗販売/例:JR東海ツアーズなど)
休業や勤務状況をみても、従来の仕事はもはや破滅的である。
なんとかGoToトラベルの影響で生き延びている企業は多いと感じる。
海外専門の航空券販売会社・現地ランドサービスなどを展開している会社は国内にシフトしている傾向がある。またHISなどのもともとグローバルな企業も今までの培ったノウハウでオンラインツアーをしたり、他業種に参入したりと動きが活発的です。
すでに旅行会社の中でも企業存続のため、希望退職者を募っている旅行会社もある。
今後の旅行会社の課題(雇用の維持が出来るのか?)
旅行会社はそもそも利益率が少ない業界でもあり、途中リタイアする人も多い業界です。
私が以前勤めていた会社は20代~30代で転職する人がほとんどです。
その半数以上が別の業種に行くことになりました。
もともと、コロナ前でも旅行会社に就職をして、数年経験を積むと転職を考える人が多い業界でもあります。そんな中、今も本来は現職を退職したいけど、次のステップに進めない方が多いと思います。
または、倒産・解雇などの理由から止む負えず旅行業から離れる方も多いと思います。今後、大手店舗閉鎖や給料カットなどの要因からますます旅行業界は衰退していくでしょう。
逆を言えば、
コロナ禍でも新事業の立ち上げや売上を伸ばしている企業もあります。
経験豊富な人材やスキルのある方はヘッドハンティングなどもさらに増えるかもしれませんね。就職難の時代に2021年は突入しますが、旅行の経験+スキルを磨くことに力を注いだ方が良い考えられる。
会社の危険信号
- 取引先の入金を早める
- 役員や部長クラスの退職・給料カット・希望退職を募る
- 支払いの延滞・給料の支給が遅れる
- 固定資産税の売却
- 銀行の方や弁護士・会計士などの来社が増える
などが挙げられますが、あなたの会社は大丈夫でしょうか。倒産関連は社員であっても突然の通知が行われることが多いです。少しでも不安であれば、会社をあきらめ、転職活動をすることも今の時期は大事なことです。
まとめ
本記事は2021年2月に記事を書いております。2020年からコロナの影響で多くの旅行会社が悲鳴をあげております。しかし、新しい人材は本来なら採用したいのは企業としては当然の原理です。
しかし、旅行会社を経営している私でもせっかく良き人材を採用したのに会社の売上が衰退しているなか、決断が難しいのも現状です。
会社の経営は人材の確保も大きな仕事です。雇用を守れないのは経営者としては失格です。
もちろん会社存続のため、時には希望退職を募ることもしょうがない。
同業者の方や旅行会社に興味のある方と一緒にこの困難な状況を戦い続けていきたい。そして同業者同士でさらなる協力も必要な時期にきているような気がします。
Thank you!!!